THE CORE THESIS
「核心を把握しているから速度が出せる」
電撃戦は「速かった」から勝ったのではない。
勝利条件を見抜いていたから、速度を選べた。
よくある誤解
「電撃戦は速かったから勝った」
これは正しい。だが、何が速かったかを誤解している者が多い。
ドイツ戦車は速かったか? 嘘だ。フランスのソミュアS35、シャールB1。スペックはドイツ戦車より上だった。速度も大差ない。時速30km台。どちらも同じようなものだ。
では何が違ったか。
| 誤解 | 真実 |
|---|---|
| 戦車の走行速度が速かった | 決断の速度が違った |
| 物量が勝っていた | 集中運用で局所優勢を作った |
| 技術が優れていた | 技術の使い方が優れていた |
| 偶然うまくいった | 勝利条件を見抜いていた |
決断の速度とは何か
グデーリアンの部隊は、現場で判断して即座に動いた。
「敵の弱点を発見した」→ 全力で突く。
「予定のルートが使えない」→ 別ルートを即決。
司令部にお伺いを立てない。報告して承認を待たない。見て、判断して、動く。
フランス軍は逆だった。現場から報告。司令部で検討。命令を下達。現場に届く。その間に状況は変わっている。届いた命令はもう古い。
なぜ即座に決断できたのか
ここが核心だ。
グデーリアンが速く決断できたのは、「勇気があったから」ではない。「性格が大胆だったから」でもない。
勝利条件を見抜いていたからだ。
何をすれば勝てるかが分かっていれば、迷わない。現場で何かを見た時、それが勝利に繋がるか否かを即座に判断できる。
電撃戦は「20世紀版」に過ぎない。古代ならカンナエ(ハンニバル)、ファルサロス(カエサル)の形。20世紀だから戦車・無線・航空機を使った電撃戦の形。現代ならまた別の形。
時代を超えて勝利条件を見抜く目。これがグデーリアンの本質だ。
キエフ包囲戦が証明したこと
1941年8月。ドイツ軍に選択が迫られた。
モスクワに直進するか、キエフを包囲するか。
グデーリアンは叫んだ。「モスクワへ行け!」
首都を落とせ。ソ連の心臓を突け。それで戦争が終わる。キエフなど後回しでいい。
ヒトラーは違った。「キエフを包囲しろ。60万のソ連軍を殲滅しろ。資源を確保しろ」
結果、キエフ包囲戦が行われた。史上最大の包囲殲滅戦。66万人の捕虜。輝かしい「勝利」。
だがグデーリアンは喜ばなかった。「これは負けだ」と分かっていたから。
戦術的には勝った。だが戦略的には負けた。モスクワへの攻撃は6週間遅れた。冬が来た。モスクワは落ちなかった。
「何人殺したか」「どれだけ占領したか」それは戦術的勝利だ。
本当の勝利は「戦争を終わらせること」だ。
核心テーゼの意味
だから俺(takawasi)は言う。
「核心を把握しているから速度が出せる」
速度は結果であって、原因ではない。原因は「核心の把握」だ。
勝利条件が見えていれば、何をすべきかが分かる。何をすべきかが分かれば、迷わずに決断できる。迷わずに決断できれば、行動が速くなる。
逆に言えば、核心が見えていなければ、いくら急いでも意味がない。キエフ包囲戦のように、「速く」間違った方向に進むだけだ。
だからダンケルクでもモスクワでも「こっちだ」と言えた。周囲は目の前のリスクや戦果を見る。グデーリアンは「これで戦争が終わるか?」を見ていた。
Philosophy Contents
電撃戦最強。グデーリアン最強。
核心を見抜け。前進あるのみ。